'Tis a Long Way to Connaught

Connaughtは遠い

涼しいは正義

 ちょっと駄文が書きたくなったので短く動画紹介でもする。

 去年中ごろブライアン・フィネガンとエイダン・オルーク率いるインスト・コンテンポラリー・フォークバンドKANが正式デビューして、ファーストアルバムSleeperを出したわけだが、これが予想通り傑作。FlookとLAUのフロントマン二人を中心にしたバンドだが、どちらのバンドとも決定的に違う先鋭的なそのサウンドは、もはやトラッドと呼ぶのはためらわれるくらいだ。伝統的な要素は極限までその連結を分解されて、フィネガンの個性的チューンの現代性として再構成されている。現代アイルランド(orケルト)音楽の極北として並び立つもののないバンドが生まれたことであるよ。

 とはいえ、正直な話私はもうちょっとトラッドらしい曲のほうが好きだ。Flookもオリジナルよりトラッドアレンジの方がツボだったし、LAUがまれにユニゾンとかし始めると否応なくテンションが上がるそんなタイプである。前衛的スタイルで伝統を再解釈するのが好みらしい。

 ファーストアルバムにはあまり入っていないけれど、KANも実は多少トラッドよりな曲も演奏している。多分作曲は最近のものだけれど、比較的リールなりジグなりの形式に忠実なもの。そういうやつの一つがアップされていたので紹介。

あーこういうのが欲しかったんだよ!!!もはやモードも逸脱したような不安定なやつじゃなくて(≒フィネガン節叩き)、こういう安心感のあるやつ。フィネガンとオルークによるシンコペーション多用のユニゾンもクソかっこいいが、それは異様にいい味を出しているジム・グッドウィンの実は単純なドラムスのおかげかもしれない。わちゃわちゃうるさくないけどダイナミクスのあるドラムスが、主役たるホイッスルとフィドルによる旋律を引き立ててるわけだ。KANらしさというものを考えたとき、旋律的にはフィネガンの斬新奇妙な楽曲があるとしたら、アレンジはグッドウィンにあると言ってもいいかもれない。トラッド風の楽曲ではこのアレンジの妙が堪能できるというわけである。

 KANは次からアルバムの半分をこんな感じにしていただきたいと願う私です。